重力による時間の遅れ (Gravitational Time Dilation)

強い重力場における時間の流れの変化を計算。

※シュワルツシルト半径よりも内側では計算できません。

重力による時間の遅れとは?

アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は時空(時間と空間)を歪めます。この歪みにより、重力が強い場所(巨大な天体の近くなど)では、重力が弱い場所(遠く離れた宇宙空間など)に比べて、時間がゆっくりと進みます。これを「重力による時間の遅れ (Gravitational Time Dilation)」と呼びます。

公式と計算方法

回転していない球対称の質量(シュワルツシルト解)の場合、時間の遅れの公式は以下のようになります。

$$ t_0 = t_f \sqrt{1 - \frac{2GM}{rc^2}} = t_f \sqrt{1 - \frac{R_s}{r}} $$

ここで:

  • $t_0$: 重力源に近い場所にいる観測者の固有時間
  • $t_f$: 重力源から無限に離れた場所にいる観測者の時間(座標時間)
  • $G$: 万有引力定数 ($6.674 \times 10^{-11}$)
  • $M$: 天体の質量 (kg)
  • $r$: 天体の重心からの距離 (m)
  • $c$: 光速 ($2.998 \times 10^8$ m/s)
  • $R_s$: シュワルツシルト半径 ($\frac{2GM}{c^2}$)

シュワルツシルト半径と事象の地平面

距離 $r$ がシュワルツシルト半径 $R_s$ に近づくにつれて、ルートの中身がゼロに近づき、時間の遅れは極限まで大きくなります。$r = R_s$(事象の地平面)に達すると、外から見ている人にとって時間は完全に停止しているように見えます。

SF映画と現実

映画『インターステラー』では、ブラックホールの近くにある惑星での「1時間」が、地球での「7年」に相当するという描写がありました。これは極端な重力による時間の遅れを表現したもので、物理学的に可能な現象です。

GPS衛星での応用

この効果は遠い宇宙の話だけではありません。地球を周回するGPS衛星は、私たちが住む地上よりも重力が弱い高度に位置しています。そのため、一般相対性理論の効果で地上よりもわずかに時間が早く進みます(特殊相対性理論による速度の効果とは逆向き)。このズレ(1日あたり約45マイクロ秒の進み)を補正しなければ、カーナビやスマホのGPS位置情報は1日で数キロメートルもずれてしまいます。