インダクタ直列合成計算機

複数のコイルを直列(一列)に接続したときの全体のインダクタンスを計算します。磁気的な干渉がない状態の単純合計値を算出します。

L1
L2
Ltotal = L1 + L2 + ...
総インダクタンス:
20.000
mH

インダクタの直列接続:なぜ足し算なのか?

電気回路において、インダクタ(コイル)を一列に繋ぐ直列接続は、最も単純かつ基本的な回路構成の一つです。このとき、回路全体のインダクタンスを求める方法は非常に明快です。それは、単なる「足し算」です。

これは、電流を妨げようとする力(逆起電力)が、それぞれのコイルで発生し、それらが積み重なって全体の妨げとなるためです。抵抗器の直列接続と同じ理屈だと考えると理解しやすいでしょう。

合成インダクタンスの公式:L = ΣLi

磁気的に互いに干渉しないほど離れて配置されている場合、複数のインダクタを直列接続した際の合成インダクタンス (L_total) は以下の式で表されます。

L_total = L1 + L2 + L3 + ...

例えば、10mH のコイルと 20mH のコイルを直列に繋げば、全体のインダクタンスは単純に 30mH となります。並列接続(逆数和)に比べて計算が非常に直感的であり、大きなインダクタンス値を手に入れたい場合に有効な手段です。

理想と現実:相互インダクタンス (M) の干渉

ただし、実務上は「ただ足すだけ」では済まないケースがあります。それは、2つのコイルが磁気的に結合しているときです。これを相互インダクタンスと呼びます。

磁気結合がある場合、全体のインダクタンスは接続の「向き(極性)」によって以下のように変化します。

  • 和動接続: 2つのコイルが発生させる磁束が同じ向きで強め合う場合。
    L = L1 + L2 + 2M
  • 差動接続: 2つのコイルが発生させる磁束が逆向きで打ち消し合う場合。
    L = L1 + L2 - 2M

磁束が完全に打ち消し合うと、インダクタンスがゼロに近づくことさえあります。そのため、基板設計などで意図しない数位変動を避けるには、コイル同士を離すか、磁力線が干渉しない向きに配置することが重要です。

直列接続のメリットとデメリット

メリット

  • 大きな値を作れる: 市販されていない大きなインダクタンス値が必要な際、既存の部品を組み合わせて容易に作成できます。
  • 耐電圧の向上: 理論上、各コイルに電圧が分散されるため、高電圧がかかる回路での絶縁ストレスを分散できる場合があります。

デメリット

  • 直流抵抗 (DCR) の増加: ここのコイルの巻線抵抗もすべて足し合わされるため、回路全体の電圧降下や発熱が大きくなります。
  • コストとサイズ: 一つの大きな部品を使うよりも、複数の部品を並べる方が占有面積が増え、コストも高くなる傾向があります。

活用シーン

インダクタを直列にする最も代表的な例は、「フィルタ回路」です。特定の高い周波数のノイズを遮断したいとき、直列に並んだコイルは高いリアクタンス(抵抗)を示し、ノイズの侵入を強力に防ぎます。ACアダプタのコードについている「フェライトコア」も、一種の直列インダクタとして機能し、ノイズを抑制する役割を果たしています。

よくある質問 (FAQ)

Q:大きなコイル1個と小さなコイル2個の直列、どちらが良いですか?

A:スペースやコストに余裕があるなら、基本的には「大きなコイル1個」の方が、抵抗が少なく効率が良いことが多いです。ただし、部品の高さ制限がある場合などは、小さなコイルを直列にする設計が選ばれます。

Q:電流の容量(定格電流)はどうなりますか?

A:直列接続の場合、全体の定格電流は「使っているコイルの中で**最も定格電流が小さいもの**」に制限されます。一部だけ細い線を使ったコイルを混ぜると、そこがボトルネックになって発熱・焼損する恐れがあるため注意してください。