Gojikara Engineering

MOHR'S CIRCLE SOLVER

モールの円:応力変換と主応力の自動算出

MPa
MPa
MPa
中心点 C (Average)
--
(σx + σy)/2
半径 R
--
第1主応力 σ1
--
最大引張/圧縮
第2主応力 σ2
--
最大せん断応力 τmax
--

モールの円(Mohr's Circle)とは何か?

モールの円は、材料力学や構造工学において、ある一点における「応力状態」を視覚的に表現し、任意の断面に働く応力をグラフィカルに導き出すための手法です。1882年にドイツの土木エンジニアであるクリスティアン・オットー・モールによって考案されました。

物体に外力が加わると、内部にはその力に抗う「応力」が発生します。しかし、応力の大きさは切断する断面の角度(向き)によって変化します。モールの円を利用することで、複雑な三角関数の計算を介さずに、どの角度の面に最大の応力が働くか、またその値がいくらになるかを一目で把握することが可能になります。

1. モールの円の数学的背景

2次元応力状態(平面応力)を考えたとき、垂直応力 $\sigma_x$, $\sigma_y$ とせん断応力 $\tau_{xy}$ が与えられると、モールの円は中心点 $C$ と半径 $R$ を持つ円として描かれます。

Center (C) = (σx + σy) / 2
Radius (R) = √[ ((σx - σy) / 2)² + τxy² ]

この円周上の各点は、座標 $(\sigma, \tau)$ を表しており、円の右端と左端がそれぞれ「最大主応力($\sigma_1$)」と「最小主応力($\sigma_2$)」に対応します。

2. 主応力と最大せん断応力の重要性

エンジニアリングの実務において、主応力と最大せん断応力の特定は「破壊予知」に直結します。

  • 主応力 (Principal Stresses): せん断応力がゼロになる特別な面(主平面)に働く垂直応力です。脆性材料(コンクリートや鋳鉄など)の破壊は、主にこの最大引張主応力が材料の強度を超えたときに発生します。
  • 最大せん断応力 (Maximum Shear Stress): 円の半径 $R$ そのものが最大せん断応力に対応します。延性材料(鋼材やアルミなど)の降伏現象は、このせん断応力に支配されることが多いため、設計上極めて重要なパラメータです。

3. 土質力学における応用:モールの破壊包絡線

土木工学の分野では、モールの円は「土のせん断強度」を評価するために欠かせません。土に圧力をかけていき、どのタイミングで崩壊(せん断破壊)するかを分析します。

様々な拘束圧下でのモールの円を描き、それらの円に共通して接する線を「モールの破壊包絡線(Failure Envelope)」と呼びます。この線の傾きが「内部摩擦角」、切片が「粘着力」となり、地盤の安定計算の基礎データとなります。

4. 計算機による算出例

例えば、ある部材の一部に $\sigma_x = 100$ MPa, $\sigma_y = 40$ MPa, $\tau_{xy} = 30$ MPa の応力が生じている場合を想定します。

  1. 中心 $C = (100 + 40) / 2 = 70$ MPa
  2. 半径 $R = \sqrt{ [ (100 - 40) / 2 ]^2 + 30^2 } = \sqrt{ 30^2 + 30^2 } \approx 42.4$ MPa
  3. 最大主応力 $\sigma_1 = 70 + 42.4 = 112.4$ MPa
  4. 最大せん断応力 $\tau_{max} = 42.4$ MPa

この結果から、部材内には元の $\sigma_x$ よりも大きな引張力が特定の角度で発生しており、設計基準を超える可能性があることを察知できます。

まとめ

モールの円は、誕生から100年以上経った今日でも、コンピュータによる有限要素法(FEM)解析の検証や、現場での迅速な強度判断において現役のツールです。精密な数値計算だけでなく、その物理的な意味をイメージすることで、より安全で信頼性の高い構造物設計が可能となります。

監修:Kaori Suzuki | Gojikara Lab. Structural Analysis Team