ロックウェル硬さ計算・変換機

JIS/ASTM規格に基づいた硬度計算と換算

測定・換算結果

ロックウェル硬さ(Rockwell Hardness)とは?

ロックウェル硬さは、材料の硬さを表す世界的な指標の一つで、1919年にアメリカのスバール・ロックウェルとヒュー・ロックウェルによって開発されました。金属、プラスチック、複合材料などの物理的性質を評価する際、最も迅速で簡便な試験方法として広く普及しています。

他の試験方法(ビッカースやブリネル)が「圧痕の面積」を測定するのに対し、ロックウェル硬さは「基準荷重と試験荷重による圧痕の深さの差」を直接測定するのが特徴です。これにより、顕微鏡による視覚的な測定が不要となり、誤差が少なく、自動化にも適した試験が可能です。

ロックウェル硬さの測定原理

試験は以下のステップで行われます。

  1. 基準荷重(予荷重)の付加: 最初に小さな荷重(基準荷重)を加え、深さの原点を設定します。これにより、表面のわずかな凹凸や汚れの影響を排除します。
  2. 試験荷重(全荷重)の付加: 主荷重を加え、一定時間保持して材料にくぼみを作ります。
  3. 荷重の解除: 主荷重のみを取り除き、再び基準荷重の状態に戻します。この時の「くぼみの深さの差(永久くぼみ深さ)」を自動的に計測します。

硬度は、深ければ深いほど数値が低くなるように定義された計算式から導き出されます。

主要スケールの種類と使い分け

ロックウェル試験には、圧子(ダイアモンドや鋼球)と荷重の組み合わせによって、数多くの「スケール」が存在します。対象とする材料の硬さや厚さに応じて適切なスケールを選択する必要があります。

スケール 圧子の種類 全荷重 [kgf] 主な用途
HRC 120°ダイヤモンド 150 焼入れ鋼、工具鋼、高硬度合金
HRB 1/16インチ鋼球 100 銅合金、アルミニウム、軟鋼、黄銅
HRA 120°ダイヤモンド 60 超硬合金、薄板の表面硬度
HR15N ダイヤモンド 15 スーパーフィシャル(極薄皮膜・窒化層)

硬度計算の公式

本計算機では、永久くぼみ深さ (h [mm]) から以下の式を用いて硬度を算出しています(JIS Z 2245規格に準拠)。

ダイヤモンド圧子 (C, A, D スケールなど):
HR = 100 - (h / 0.002)

鋼球圧子 (B, E, F スケールなど):
HR = 130 - (h / 0.002)

ロックウェル硬さからの換算(近似値)

実際の現場では、ロックウェル硬さからブリネル硬さ(HB)やビッカース硬さ(HV)への読み替えが必要になることが多々あります。これらは測定原理が異なるため正確な数学的一致はありませんが、一般的に以下の近似的な相関関係があります。

  • 対ブリネル硬さ (HB): 通常、肉厚がある材料において、焼入れ鋼であれば HRC × 10 程度の値が HB の目安となります(例:HRC 30 ≒ HB 285)。
  • 対ビッカース硬さ (HV): 高硬度域では HRC と HV は非常に高い相関を示します(例:HRC 60 ≒ HV 700)。
  • 対引張強さ (σb): 炭素鋼においては、硬度値からおおよその引張強さを推定することも可能です(例:HRC × 32 ≒ σb [MPa])。

試験結果の正確性に影響を与える要因

正確な硬度測定を行うためには、以下の条件に注意する必要があります。

  • 表面粗さ: サンプル表面が粗いと、基準荷重の時点で圧子が安定せず、誤差が大きくなります。
  • 最小厚さ: 一般的に、圧痕の深さの10倍以上の厚さがサンプルには必要です。薄すぎる材料では、下の台座(アンビル)の硬さを測定してしまいます。
  • 測定位置の間隔: 隣り合う圧痕やサンプルの端からは、圧痕径の3倍以上離して測定しなければなりません(材料の加工硬化の影響を避けるため)。
  • 円筒・球面補正: 曲面を測定する場合は、その曲率半径に応じて補正値を加減する必要があります。

この計算機と換算ツールを活用して、材料の物理的性質を的確に把握し、設計や品質保証の効率化に役立ててください。