切削速度・送り計算機
機械加工の最適解(スイートスポット)を見つけ出し、生産性と品質を最大化します。
切削条件 解析結果
切削条件とは?:加工の成否を分ける 2 つの重要因子
金属加工(切削加工)において、美しい仕上がりと効率的な加工を実現するためには、適切な 「切削条件」 の設定が不可欠です。主軸をどれくらいの速さで回すか(回転数)、どれくらいの速さで工具を移動させるか(送り速度)が、工具の寿命、加工精度、そして表面の粗さに直結します。
本計算機は、工具メーカーのカタログ等に記載されている推奨の「切削速度($V_c$)」と「刃当り送り量($f_z$)」をベースに、実際の機械に入力すべき回転数($n$)とテーブル送り($V_f$)を導き出します。
1. 回転数($n$)の計算公式
主軸の回転数は、工具の直径と切削速度から求められます。工具の外周が 1 分間にどれだけ進むかという速度が「切削速度」です。
- $n$: 主軸回転数 [min⁻¹ (rpm)]
- $v_c$: 切削速度 [m/min]
- $D$: 工具の外径 [mm]
- 1000: 単位を m から mm に直すための係数
2. 送り速度($v_f$)の計算公式
送り速度は、回転数、工具の刃数、そして 1 つの刃が 1 回転でどれだけ削るか(刃当り送り)を掛け合わせて算出します。
- $v_f$: 送り速度(テーブル送り) [mm/min]
- $f_z$: 刃当り送り量 [mm/t]
- $z$: 工具の刃数
- $n$: 算出した回転数 [min⁻¹]
加工ミスを防ぐためのポイント:ビビりと摩耗
計算結果をそのまま入力するだけでなく、実際の加工音や切り屑の状態を見て微調整することが重要です。
- 回転数が速すぎる: 摩擦熱により工具の刃先がすぐに摩耗(逃げ面摩耗)したり、最悪の場合溶けたりします。
- 送り速度が速すぎる: 削り取りの負荷が大きくなり、工具が折れたり、被削材の表面が荒れたりします。
- 送り速度が遅すぎる: 刃先が削るのではなく「擦る」状態になり、加工硬化が起きたり、工具の寿命を縮めたりします。
- ビビり音が発生: 工具の突出長を短くするか、回転数を 10〜20% 下げることで改善することが多いです。
主要な被削材別の切削推奨条件の目安
※以下の値はハイス工具や一般的な超硬工具を使用した場合の目安です。実際の選定には必ず工具メーカーのカタログを参照してください。
| 材料の種類 | 切削速度 $v_c$ (m/min) | 刃当り送り $f_z$ (mm/t) 例 |
|---|---|---|
| アルミ合金 (A5052等) | 200 〜 1,000 | 0.05 〜 0.30 |
| 炭素鋼 (S45C等) | 100 〜 200 | 0.03 〜 0.15 |
| ステンレス (SUS304等) | 50 〜 120 | 0.02 〜 0.08 |
よくある質問 (FAQ)
Q. ドリルの場合はどう計算すればいいですか?
ドリルの刃数は通常 2 です。ただし、ドリル計算では「1 回転あたりの送り量 ($f$)」を使うことが多く、その場合は公式を $v_f = f \cdot n$ として計算します。本計算機でドリル条件を出す場合は、刃数を「1」にして、「1 回転あたりの送り量」を $f_z$ の欄に入力すれば計算可能です。
Q. 「切削速度 ($v_c$)」と「回転数 ($n$)」は何が違うのですか?
「回転数」は機械の軸が回る速さそのものですが、「切削速度」は工具の「大きさ(径)」を考慮した「実質の削るスピード」です。同じ 1000 回転でも、直径 100mm のカッターと直径 1mm のドリルでは、外周の移動スピード(切削速度)は 100 倍異なります。
Q. 油性切削油と言水溶性切削油で条件は変わりますか?
はい。水溶性の方が冷却能力が高いため、切削速度を上げやすい(回転数を高くできる)傾向があります。一方、重切削やネジ切りなど潤滑が重要な場合は油性が向きます。条件設定は冷却・潤滑の状態も考慮する必要があります。
Kaori Suzukiの視座:精密な数値が奏でる「モノづくりの音楽」
工場の奥から聞こえてくる、小気味良い切削音。熟練の職人さんはその「音」を聞くだけで、回転数が適正か、工具が悲鳴を上げていないかを感じ取ると言います。その感覚の裏付けにあるのは、長年の経験と、そして今回ご紹介したような物理的な数値の積み重ねです。計算機が出した結果は、あくまで「理論上の出発点」に過ぎません。しかし、その確かな起点があるからこそ、私たちは材料の僅かな硬さの違いや、機械の剛性に応じた微調整を行うことができます。数値と感覚が融合したとき、金属は驚くほど滑らかに形を変え、世界を支える部品へと生まれ変わります。このツールが、あなたの工房や工場における「最良の一削り」を導き出し、確かな品質を形作るための一助となることを願っています。